2008年08月17日

ローマ人の物語 (4) ― ハンニバル戦記(中) 新潮文庫 |塩野 七生

ローマ人の物語 (4) ― ハンニバル戦記(中)    新潮文庫ローマ人の物語 (4) ― ハンニバル戦記(中) 新潮文庫
塩野 七生
新潮社 刊
発売日 2002-06
オススメ度:★★★★★




英雄同士の決戦 2008-05-06
 戦争とは外交の一手段。そんなことを言ったのはどこの誰だったか。しかし、この戦争に限って言えば、そうではなかったかもしれない。第二次ポエニ戦役は、天才ハンニバルの私怨により引き起こされた戦争だった気がする。

 幼少の折、第一次ポエニ戦役でのローマに対する父の無念を晴らすよう神に宣誓したハンニバルは、28歳の時、双方の本国から離れたスペインでローマの同盟都市を攻略し、無理矢理カルタゴとローマの全面戦争に持ち込む。その後、アルプスを超えイタリア半島に侵攻し、次々とローマ軍を撃破し、蹂躙する。

 国家が一人の天才の前になすすべも無く敗れるかという時期にローマに登場するのが、スキピオだ。ハンニバルより12も若いスキピオは、敵将を戦術の師とし、カルタゴ本国を攻略することによって、ついにハンニバルをイタリア半島から追い出すことに成功するのだ。

 一人の天才によって戦争の形式が劇的に変わる様と、共和制ローマのシステムが最も有効に機能していた時代を知ることができる一冊。

第二次ポエニ戦役 2008-01-13
 地中海の覇権を失ったカルタゴは、スペインへと支配地域を広げていった。スペイン進出を主唱し実行したのは、第一次ポエニ戦役のカルタゴ側の英雄ハミニカル。ハンニバルの父であった。



 スペインの支配を安定させたハンニバルは、ピレネー山脈を越え、ローヌ河を渡り、アルプスを越えてイタリアに侵攻した。本巻は、ハンニバル戦記と呼ばれる第二次ポエニ戦役を扱うものである。



 稀代の戦術家といわれるハンニバルは、戦略にも長けていたようだ。彼の戦術・戦略のために、ローマは連戦連敗を重ね、ローマ連合を構成する都市国家の離反すら招いてしまう。



 そのような非常事態にローマ人がどのように立ち向かったか。なぜ、ハンニバルはイタリアでの優勢を保てなかったのか。どうしてカルタゴはハンニバルを孤立させてしまったのか。そんなことに思いを馳せながら無我夢中で読んでいたら、あっという間に読み終わってしまった。

天才ハンニバルの登場 2007-08-14
本書が面白いのは、それぞれの巻での主役が随分前から導火線のように伏線としてチョコチョコ登場してきていて、ドカンと主役に躍り出たときには読み手に早くも感情移入させることに成功している点だ。ハンニバルにしてもスキピオにしてもそれぞれの家柄、両親、幼いときから初めての従軍までを織り交ぜており「人間突如として頭角を現す奴なんていないんだ」と改めて思い知らされる。

戦術や戦略面、図などが充実していて想像力を掻き立てるが、その戦闘までの政治的過程も描いているために指揮官の顔やその人物を選出していくローマの内情までよくわかる。

大スターへの恋慕 2007-07-28
 ポエニ戦役の大スターである ハンニバルの活躍がふんだんに書かれているのが本書である。



 塩野は 冷静な歴史叙述家である一方 時としてミーハーなまでに 歴史上の人物に惚れてしまう点が特長である。塩野が「ローマ人の物語」なる大長編に挑んだのも ローマ人を偏愛したからだと思うが 本書に限っては ローマ人と敵対した ハンニバルに惚れている点が良く分かる。読んでいるこちらも苦笑してしまうほどだ。ローマがおたおたしているのを 塩野は 幾分楽しげに描いている部分すらある。



 但し 冷静な歴史叙述家の視点は忘れてはいない。ハンニバルの話も 単に戦闘の描写で済ましているわけではない。おそらく ハンニバルの話は「アルプスを象を連れて越えた」という 幾分漫談調に語られることも多かったと思う。それに対し 塩野は 冷静に ハンニバルが目指したものは ローマ帝国をローマ帝国たらしめた ローマ同盟の政治的撃破を ハンニバルが目指したとしている。



 大スターに対して キャーキャー言っていながら 目が笑っていない塩野の顔が目に浮かぶ。

 

ハンニバル 2007-03-21
 名将ハンニバルの快進撃ぶりが、図表をまじえてわかりやすく書かれており、大変興味を持って読みすすむことができた。

 ハンニバルに慌てふためくローマ人の様子が手に取るようにわかる。






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補給戦―何が勝敗を決定するのか (中公文庫BIBLIO) |マーチン・ファン クレフェルト

補給戦―何が勝敗を決定するのか (中公文庫BIBLIO)補給戦―何が勝敗を決定するのか (中公文庫BIBLIO)
マーチン・ファン クレフェルト
中央公論新社 刊
発売日 2006-05
オススメ度:★★★★




名著! 多くの場合、補給が軽視されていたのではなく、局面が許さなかったということが分かる。 2008-06-08
 具体的な数字を挙げられていて丁寧に分かりやすいので、補給の困難性の本質がどのあたりにあるのか分かるようになってきました。

 どんな作戦立案者も補給の必要性を切実に理解はしていたのに、ノルマンジーの連合軍といった極めて少ない例外を除いて確保できなかった理由が、また多くの作戦が補給に眼をつむって戦局を進めた背景がわかります。

 また、兵站を歴史的に考察して、補給の方法(軍需倉庫から補給を直接受けた初期の段階、ナポレオンの略奪時代、基地からの永続的補給時代(馬車、鉄道、自動車))の興味深い実例が淡々と述べられています。

 最後の「知性だけがすべてではない」という章に著者の結論と現代の軍隊の問題がまとめて極めて論理的演繹的に述べられていますが、ここはぜひ自らお読みください。



 クラウゼビッツの戦争論をはじめとする、中公文庫のこのシリーズは良い本が多いですね。

翻訳の悪さを補って余りある内容 2008-06-05
近現代の主な戦史を、補給という観点から解剖した異色の軍事史である。

翻訳は、軍事関係書にありがちな原文を直に訳し降ろしたような、籾殻付玄米

といったところだが、それでもズンズン読み進んでしまった。それほど面白い。

細かいところで疑問に思う点もないではないが、こういう観点から戦争を

大きく見る本は非常に珍しいので、文庫本になったのは本当に嬉しい。



現代の戦争は、本書の扱う戦争とは様相が違ってきているが、しかし逆に

現地調達(略奪)はますます致命的な結果を生むようになってきている。

このような本を読んで、最前線で華々しく闘うだけでは戦争は完結しない

という事実を頭にたたき込むことは、軍人はもちろん一般市民にとっても

決して損にはならないだろう。

むしろ銃後のイケイケドンドンが国を滅ぼすことの方が多いことを思えば、

こうした本が売れる方が望ましいと思うのだが・・・それは無理かな。

兵站から見る戦史 2008-03-18
兵站というものが戦争においていかに重要なものかを説いた書。



かつては戦地略奪ですんでいた兵站が、だんだんと補給にする必要に迫られてきた。

補給では、戦隊が伸びきってしまうと補給に大量のコストがかかってしまい、大きなロスになる。



これまであまり語られなかった兵站という視点から、戦争の歴史を見るのはなかなか面白い。

具体的な内容は、実際に本書を読んでいただきたい。





第二次大戦の日本は、補給路が壊滅して、結果惨敗した。

ベトナム戦争でアメリカは、ついに北ベトナムのホーチミンルートを断つことが出来ず、敗北した。

派手ではないが、やはり兵站は戦争の最重要要素である。

この本の内容を悪用すべきでない 2008-03-11
最も読まれるべき戦史本。しかしこの本で旧日本軍の蛮行を正当化するのは愚か。逆に補給のような基本的なことを考えずに数万、10万単位の軍隊を進軍させると何が起こるかくらいのことは理解できなければならない。旧陸海軍の参謀であってもそのくらいは想像できただろう。当時の日本人は日本軍の補給思想の無さを知っておりその結果何が中国で起きたか知っていただろう。日本人はそれを理解できぬほど馬鹿ではない。もちろん参謀将校も知っていた。彼らは知らぬフリをしているだけ。日露戦争では15年戦争よりも補給を考えていた。この本を通じて知られることは、欧米の戦史は補給をしようと思っても物理的限界でできなかった、しかし旧日本軍は最初からそれをしようとしなかったということ。

国家戦略を考える上で 2008-01-18
ヨーロッパのナポレオン戦争からWWIIまでの戦争の話で、陸戦が主な話である。海軍は全く出てこない。

興味深いのは、ロンメルの砂漠戦に必要な補給をどの港で陸揚げするかの見誤りである。

いっぽう、日本に目を向けるとどうであったか。国内はほとんど陸続きであるが、ほとんどが似たような食事、似たような地形、しかもさほど遠くないとなると兵站の発想が育たなかったのは納得できる。国外に行く場合は、南方のガ島のような揚陸も難しく、そこに行き着くだけでもかなり大変なのにもかかわらず、現地調達を旨としていたのは、諦めなのだろうか。

現在の国家のエネルギー食糧問題を考えるに、補給路をどのように確保するか、国家戦略を考えなければならない。







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ノモンハンの夏 (文春文庫) |半藤 一利

ノモンハンの夏 (文春文庫)ノモンハンの夏 (文春文庫)
半藤 一利
文藝春秋 刊
発売日 2001-06
オススメ度:★★★★




平成のニッポン国民の知性も心配に・・・ 2007-12-23
この本は資料としても文学としても読み応え十分です。

私が当作品を読んで一番衝撃だったのは、

ノモンハン事件当時、日本国民の世論が、

完全に親ナチス・反英米だった事でした。

三国同盟を締結せんと画策していた帝国陸軍が

マスコミを使って世論を誘導したかもしれませんし

外国の情報機関の工作員の仕事かもしれません。

しかし、"絶対悪"ヒットラーと手を組むことは

日本国民の民意でもあった事は事実です。

この本を読んで帝国陸軍の組織腐敗を嘆いたり

高級参謀の無能ぶりを嘲笑ったりするのは簡単ですが

過ちから学ぶ必要があるのは軍人だけではなく

現在の日本を生きる私たち国民一人一人もそうです。

今も昔も、世論や民意がマスコミによって作られています。

日本国を再び過ちを犯す国にしたくなければ、

我々国民がもっと賢くなるしか他に道はないわけです。

この本は平和を願う日本国民必読の書です。

安全な場所にいる人間が唱える現場主義とは 2007-12-04
この本は、ノモンハンにおける戦いについてのミクロな話ではなく、国際政治の文脈の中に位置づけた上での

ノモンハンの話、もしくは、ノモンハンという地点に最終的に結実された日本および諸外国の政治的・軍事的

意思決定のプロセスについて語った本、もしくは、日本陸軍幹部、および政治的指導者がいかにダメダメだっ

たかということを語った本である。

ノモンハンの戦いの詳細を知りたいのであれば、アルヴィン・D. クックスの「ノモンハン(全四巻)」がよいかと。残

念なことに冷戦前に書かれているのでソ連側の資料、とりわけソ連崩壊後に発掘された資料を参照すること

ができなかったけども。また、ソ連崩壊後に発掘されたソ連側の資料をもとに書かれた「ノモンハン事件の真

相と戦果」という本もあるので参照されたい。

ジューコフファンは必読 2007-10-23
満蒙国境紛争が日ソ戦に発展したノモンハン事変ネタだが、

ヒトラーやスターリンのエピソードも多く紹介されている博覧強記の書。

ノンフィクションだが、小説並みに人物の内面の心理描写もされてます。

なんで、そんなことまで判るの?

と疑問に感じる箇所もあるが、まあ、若気の至りとして許してあげましょう。

ヒトラーとスターリンの801小説としても読めます(読むなよw)

で、世界一の悪で阿呆な大日本帝国軍ネタは、

最悪の軍人は辻政信であったと理解出来ます。

他の作品はけっこう筆を押さえて冷静に書いているが、

これは、絶対悪辻政信に対しての怒りが迸ってます。

ソ連軍ファンにはジューコフ将軍の大活躍に胸が躍るであろう。

ノモンハン事変でジューコフは日本軍に32%もの死傷率を与えた。

日本軍の主力の第23師団に対しては76%もの見事な包囲殲滅戦を完遂した。

太平洋戦争でもっとも悲惨とされるガダルカナルの戦いでも34%である。

包囲殲滅戦の教科書とされるジューコフの見事な戦いに酔いしれろ!

やりきれないのは、名将ジューコフの包囲から脱出したわずかな日本兵は、

敵前逃亡の罪でほとんどが死刑にされているのだよね。

法廷も開かれずに病院で暗殺された下士官もいた。

日本人の敵は大日本帝国軍の高級将校であったことがよく判る良書である。





日本を世界戦争へ導いた大事件 2007-03-29
後の太平洋戦争につながっていくきっかけとも言えるノモンハン事件を描く大作。

戦場の軍人が統帥権をもつ天皇の意向を無視して暴走する様がありありと描かれ、数万人の死傷者を出してもなお自らの非を認めない高級将校に対する怒りがこめられた表現が多くみられます。

特に、悪名高い辻政信参謀に対しての批判は極めて厳しいのですが(もちろん、批判されてしかるべきなのですが)、その表現が幾分感情的に感じられ、単なる辻批判本と受け取られかねないところは若干残念でした。

とはいえ、ノモンハン事件そのものだけでなく、当時の国際情勢、特にヒトラーのドイツとスターリンのソ連の駆け引き、伊英仏の思惑など、複雑を極めた世界のパワーバランスが丁寧に描かれていて、日本にとってのノモンハン事件が単なる局地的戦闘でなかったことがよく理解できます。

とにかく資料の膨大さに感服します。ノモンハン事件のことを全く知らない人は、消化不良になるかもしれません。同じく文春文庫の「失敗の本質」第一章で予習をしてから読むことをお勧めします。



勉強になりました 2007-01-25
戦後の「陸軍参謀本部」は、旧大蔵省の主計局といったところでしょうか?



バブル経済を壊滅した悪名高い総量規制、橋本政権時の景気上昇時の消費税上げによる

景気冷え込ませ・・・陸軍が三国同盟締結にひた走って日本を敗戦へと導いたのに似ています。



エリートのみが集う閉じられた世界が誤った国策を生み国を滅ぼす。



戦前と戦後は繋がっている、と実感させられました。






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ダライ・ラマ自伝 (文春文庫) |ダライラマ

ダライ・ラマ自伝 (文春文庫)ダライ・ラマ自伝 (文春文庫)
ダライラマ
文藝春秋 刊
発売日 2001-06
オススメ度:★★★★




中国人に読ませたい 2008-06-01
4月に日本に帰ったときに買った本。

3・14以降、なんだかんだ言う前に、

俺って、結局何も知らないじゃんって思って、

買った本。空港の本屋で平積みになっていたので、

衝動的に手に取ったというのもありますが。



1989年にノーベル平和賞を受賞したダライ・ラマ14世。

1940年に5歳のときに13世の生まれ変わりとして、

即位した彼の半生と、祖国チベットを侵攻した中華人民共和国

とのやり取りを、そして、チベット人民の生活の様を、

ダライ・ラマ自身によって綴った自伝書。

1990年に英語版で発行され、翌91年に日本語訳された。



今から18年前に書かれたものであるものの、

今なお続くチベット人民への圧政。

そして、亡命政府と名乗り、チベットに帰ることの

できない、ダライ・ラマ14世。



ただ、漠然としか知らなかったこの半世紀以上の出来事を

改めて理解することが出来ました。

また、この半世紀以上という時間の長さも感じながら、

既に破壊されてしまったチベット文化の回復の

可能性はどれくらい残されているのだろうかという

危惧も抱かずにはいられません。

チベット「自治区」の自治を回復したとしても、既に

そこには多くの漢民族も移住しているわけで、

チベット人だけのくにに戻すことは現実的には

不可能になっているのだから。

当然、事実追認するというつもりもないのだけれど、

植民地支配による文化破壊の恐ろしさを痛感しました。



帝国主義下の日本による事実上の植民地支配を受け、

虐げられてきた中国が、その後の新しい政府である

中華人民共和国政府によって、「隣国」チベットを

植民地支配してしまったということは、なんとく皮肉だろう。

また、中国国内ですら、文革の時代を経て、蛮行が

横行した時代、植民地であるチベットでの治安維持で

更なる残虐な手段が用いられたというのも、

歴史のめぐり合わせなんだろうか。



実際のところ、1949年の中華人民共和国成立以降、

翌年の50年にチベット侵攻があって以来、チベットは

中国の一部として地図の上では描かれている。

一般の中国人民にとって、チベットは中国の国土の一部で、

独立主張するなんてとんでもないと考えるのは

仕方がないのかなとも思う。

なぜならば、そういう教育を受けているから。

また、政治的にも、資源の有用性から北京政府がチベットの

大地を手放すとも思えない。



しかし、チベットで何が起こっているのか。

何が行われてきたのかを中国人民にも知って欲しい。

この本を読んで、ダライ・ラマ14世の人となりを知って欲しい。

そう、強く感じてやみません。



ダライ・ラマ14世はこの7月で73歳になります。

彼が無事にチベットの地で「生まれ変わる」ことが出来るのか。

変わり行く中国の中で、チベットの位置づけはどうなっていくのか。



ただ、がむしゃらに"Free Tibet"と叫ぶのではなく、

どうかかわっていけばいいのかなって考えていきたいと

思います。





チベットを知る入門書 2008-05-19
本書の前半は、タクツェルというラサから遠く離れたチベット北東部の村でダライラマとして見出され、

ダライラマとして教育される幼少期から24歳でインドに亡命するまでが語られている。

ポタラ宮での生活や青年期における中国との外交などが詳しく語られるとともに、

数万の群衆に囲まれたポタラ宮からインドに脱出するくだりは、

ほんの50年前にあったこととは思えない出来事であり、あたかも冒険譚を読むような感覚である。

「チベットがまだ自由な国であったときに思いをはせるにつけ、そのころが私の生涯で最良の日々であった」

というように、中共軍がチベットに入ってくるまでの時期がちょうど子供から大人へと成長する時期と重なり、最も良い時期であったに違いない。



インドへの亡命後の後半は、一転してチベットへの思いや宗教への思い、中国との関係に関する考察が語られる。

ダライラマの考え方、哲学・思想といったものを多少なりとも感じ取ることができ、とても示唆に富んでいる。

哲学・思想といっても、幼少期はやんちゃ坊主であり、年を取ってから若いころにもっと勉強をしておけばよかったと振る返るなど、

とても親しみを覚える方だからこそ全く堅苦しくなく読むことができた。

仏教思想を基にした人間・社会・宗教への思いは普通の人が語ったのであるならば、胡散臭く、説教くさいものと成ってしまう可能性もあるが、

これだけの苦労を重ね、確固たる理念を持っている人だからこそ、心に響き、少しでも近づけるようにと共感が持てる。



近年のチベットの歴史、ダライラマという人物を知るには格好の書だと思う。

ダライラマの半生、思想には深い感銘を覚えたし、また、中国やインドに対する理解も深まった。

今度は、ダライラマも尊敬するガンジーの一生について読んでみたいと思う。

チベット問題の本質を知りたい方必見 2008-03-21
ダライ・ラマの生い立ちからインド亡命生活までの波乱の半生を綴った自伝です。

氏の宗教的&政治的指導者の能力、世を達観した人生観に圧倒させられます。

それにしても中国が如何にチベットを侵略していったかが分かります。情報鎖国

の背後で、入植した漢民族(国家警察)が支配層として君臨することでチベット人

を抑圧し、チベット文化を破壊しました。中共という国家の本質が表れています。

「中国はいかにチベットを侵略したか」(マイケル・ダナム著)もお勧めします。

やはりすごい方 2008-03-01
こんな大変な経験をされた方なのに、どうしてあんなにチャーミングで温厚でいられるのだろうと思う。

読んでいて中国に対して私の方がはらわたが煮えくり返る思いがした。

ダライラマ様とチベットに幸あれ。

チベットとは?ダライラマとは? 2007-07-10
チベットとは?ダライラマとは?というところから入る方も、ある程度ご存知の方も、まずはこの本からお勧めします。チベットという国が、今や中国国内の地図に入っている経緯、ダライラマ14世が行なってきた中国との対話、そして今亡命政府としてインドに入り今のダラムサラに入るまでの経緯がよくわかります。私は昔、映画で転生制度に驚きましたが、どのようにダライラマが選ばれてくるのかということも、本の中でふれられています。13世が遺書の中で「自国を守らなければ、チベットは・・・宗教的指導者は国から姿を消し僧も僧院も絶滅されるだろう・・・」

と警告を残したという部分が印象に残りました。本当に今や寺院も180のうち3つしか残らず、中国により観光化され80%が中国人で教育も中国語によるものになっています。

しかし現在非暴力のままのチベットを、日本と対比させ、ダライラマ14世の人柄を本の中で感じて日本の政治家と対比させ・・・・どちらがいいのか、私たちは何か出来ないのか?・・・・・一気に読んだ後、世の中の視点が変わった本でした。







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こうして僕は世界を変えるために一歩を踏み出した |鬼丸昌也

こうして僕は世界を変えるために一歩を踏み出したこうして僕は世界を変えるために一歩を踏み出した
鬼丸昌也
こう書房 刊
発売日 2008-05-07
オススメ度:★★★★★




私があなたの明日になれるのなら 2008-06-26
もしあなたが他が為に何か行動を起こしたい時

この本はあなたの良き手引書となるでしょう



もしあなたが他が為に何かをしたいのだけれども、その選択に迷った時

この本はあなたに幾つかの輝ける道を示してくれるでしょう



もしあなたが他が為に直接働きかけれない状況で天を仰いでしまう時

この本の著者になら想いを託せると安堵するでしょう



この本を決して自分の幸せを再確認する為に手に取らないでください

世界のどこかに笑顔を忘れたり、失ってしまった子供達がいる

人間は生まれて間もなく“泣く”というコミュニケーションの次に誰に教えられることなく覚えるのが...

「笑顔」

子供達の笑顔を守りたいという一念が著者をブレること無く歩ませる

そんな鬼丸さんだからこそ託せる想いが一つ一つ実っていく



この本には沢山の素晴しい言葉が詰まってます

何十箇所も頁の端を折るほどに



中でもトシャという女性との出会いに係わる言葉の数々に胸を打たれる

そして文中で触れられる一青窈の「てんとう虫」を真摯に捉えることもできる



勇気と希望と夢を思い出させる文章を読み終えて改めて熱を帯びた

この本はやってみることの意義と大切さを教えてくれる

どうか皆さんが手にとってみてください



行動をしたくなりました。 2008-06-18
今、日本で、こういう活動をしている人が、この人を支援する人がいる。自分の知らないところで、鬼丸さん達が世界を変えるために動いている。そんな事実に、『日本だって、まだまだ捨てたもんじゃない』となぜか身震いし、自分の中に意味不明な力が湧いてきた。私ができることって何だろう? 考えて、少しずつ鬼丸さんの本を買って、こどもが通っていたお教室や、学校の図書室に置いてもらうよう働きかけることにしました。今回は最初の一歩。配布用2冊の購入です。

平和な未来への鍵は、貴方であり私の手の中にある。 2008-05-20
 



 



 《 世界や僕らの周りにはしょうがないことが多すぎ



る。未来を心配したり、問題を必要以上に憂えたり、心



配や憂いに耐えられなくなると、僕らは問題そのもの



を見ようとしなくなる。



 だからこそ、未来を心配したり、憂うのはもうやめよ



う。僕らの未来なんだから、僕らで自分たちの未来を決



めようじゃないか。



 これから生まれ来る子どもたちのために。》



 学生時代にたった一人からNGOを作り、その活動を



続ける著者が、『平和な未来』への想いをシンプルに



力強く綴った本。



 『平和な未来』へと続く扉の鍵は、選ばれた人ではなく



それを選ぶ人すべての胸の中にある。そんな当たり前で



いて忘れがちなことに、改めて気づかせてくれる本。







 “ パンドラの箱をあけて最後に残るもの。



      それは『希望』   (本文より) ”







 



一歩を踏み出すことの大切さ 2008-05-12
著者の行動力、想い、生き方に感動しました。

心が熱くなりました。



NGOと聞くと、いまの若い人たちの中には一線引く人もいるかもしれない。

もしかしたら、近寄りがたいとか思うかもしれない。



でもそうじゃない!そんな小さなこと言っているんじゃない。



世界の中で生きる子供達。それは、同じ生命。同じ人間。



いま起きていることに目を向けることの大切さ。

行動することの大切さ。

一歩を踏み出すことの大切さ。



勇気をたくさんもらいました。

わたしにもできる。そう思わせてくれた本です。



何かに迷っているひと、悩んでいるひと、いまの若いひともぜひ読んでみてください。



わたしの大切な本になりました。

僕にもできることがある 2008-05-11
今まで遠いところの出来事だと思っていたことが、実は我々の生活に大きく関わっているということに気づかせてくれました。

こんなすごい事業を動かしているのが特別な存在なんかではなく、同じようにこの国で生まれ、成長してきた人なんだということにも驚きました。

ただ、想いが強かったのとその想いをあきらめなかっただけなんだということで、たくさんの力を結集することができた結果なのでしょう。

希望と勇気をもらいました、漠然と考えていた未来が見えてきたように思います。

一人一人できることが違うのだから、自分のできることから始めればいいのだということを再認識できました。

たくさんの方にこの本で世界の現実を知ってもらい、解決を考えるきっかけになればいいと思います。






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戦争の世界史 大図鑑 |R・G・グラント

戦争の世界史 大図鑑戦争の世界史 大図鑑
R・G・グラント
河出書房新社 刊
発売日 2008-07-11





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ローマ人の物語 (3) ― ハンニバル戦記(上) 新潮文庫 |塩野 七生

ローマ人の物語 (3) ― ハンニバル戦記(上)    新潮文庫ローマ人の物語 (3) ― ハンニバル戦記(上) 新潮文庫
塩野 七生
新潮社 刊
発売日 2002-06
オススメ度:★★★★




ハンニバル戦記 2008-05-16
史上に燦然と輝くハンニバルの戦い。

上巻では、第一次ポエニ戦争を扱っているために、その導線

が引かれているに過ぎないが、読み物としての充実振りすこ

ぶる高い。二十歳の頃は読みづらいと感じていた塩野女史の

文章だが、私の勘違いだったらしい。



大国カルタゴへの挑戦ともいえる戦いは、ローマにとって長

く過酷なものだったろう。同時に地中海の権益を一気に強く

するという収穫もあった。



ローマの発展はとまらない。

戦争家の真骨頂 2008-01-21
あのハンニバルである。幾度となく語られた彼だが、このようなスケールから描かれたことは、これまでなかった。常に、日本人好みの「ヒト」に焦点を当てたものが多いからだ。

でも、塩野は違った。というより、歴史は違う。もっと広大で深遠なシステムなのだ。これを喝破した彼女はすばらしい。

スキピオがハンニバルに「あなたは戦争の時代にはふさわしいが、平和の時代には必要ない」と言ったのは、的を得ているのだろう。

第1次ポエニ戦役とその後 2008-01-13
 地中海の制海権を巡って、ローマとカルタゴが激しく争った時代の物語。本巻では、第1次ポエニ戦役とその後のことが扱われていて、カルタゴがシチリアに持っていた権益をどのようにして失い、ローマがどのようにして地中海に覇権を唱えたかが分かりやすく描かれている。



 この時代、シチリアをめぐる抗争が絶えなかったことは世界史で習った。しかし、どのような背後関係があって、どのような規模の抗争が行われたのかは聴いたことがなかった。本書は、シチリア勢力分布図を何度も示し、ある場所を確保することがローマやカルタゴにとってどのような意味があるのかを分かりやすく説明してくれている。



 とても細かなところまで目が行き届いているのがこの本の特徴だと思う。印象に残ったのは、ローマ軍の宿営地建設のマニュアル化の徹底ぶりだった。



 「ローマ人には、マニュアル化する理由があったのだ。指揮官から兵から、毎年変るのである。誰がやっても同じ結果を生むためには、細部まで細かく決めておく必要があった。」

歴史は面白い 2007-08-14
本書はハンニバル戦記の序章が丁寧に書いてある。

地図や武器、勢力図などが分かりやすく散りばめられていて、読み手の想像力を刺激しながらもそれだけでは追いつかない部分をしっかりと補ってくれる。

ハンニバルやスキピオなどの歴史上人脈上の伏線を少しずつ織り交ぜながら物語が進んでいくので徐々に盛り上がっていく緊迫感が文章から伝わってくる。

船さえまともに操れなかったローマ人が独創的な海戦をこなせるようになるまでのスピードの速さは本当に凄い 他民族を潰さず受け入れるという路線がここでも成功している



ポエニ戦役前半戦 2007-07-26
 「ハンニバル戦記」(上)では ローマとカルタゴが シチリア島を巡って繰り広げた戦争の前半戦を描き出している。



 第一次ポエニ戦役である。



 塩野は カルタゴ=大国、ローマ=新鋭の挑戦者、 という明快な設定を行った上で 長きに渡ったポエニ戦争の第一部を書上げている。



 塩野は「戦争くらい 当事者の国の民を裸にして見せてくれるものもないからである」と言っている。その為であろうが 戦争を書き出す塩野の筆致は鮮やかだ。

 塩野自身は元来「歴史小説家」であろう。しかし 本書では「歴史小説」ではなく「歴史書」を目指している。戦争を書くにしても 「戦闘」を描き出すわけではない。歴史家の目と 小説家の創造力の両方を駆使して 「戦争」というものの本質に迫ろうとしている。



 新鋭ローマが 大国カルタゴに勝利した点に関しては 塩野は両国の「考え方」に求めている。カルタゴが「閉じられた国」であったのに対し ローマが「開かれた国」であった点に 最大の理由を探している。

 この塩野の「仮説」が正しいかどうかは ローマ史の素人である僕には分からない。但し この本から 僕が学んだ最大の内容は その塩野の「仮説」にあることも確かだ。



 歴史から学ぶ点は多いと よく言われる。その好例が 本書である。僕はそう思っている。ポエニ戦役も 僕の勉強も まだ始まったばかりなのだ。









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ゴーマニズム宣言SPECIAL よしりん戦記 |小林 よしのり

ゴーマニズム宣言SPECIAL よしりん戦記ゴーマニズム宣言SPECIAL よしりん戦記
小林 よしのり
小学館 刊
発売日 2003-11
オススメ度:★★★★




ゴー宣ベスト30。 2008-01-03
巻頭のスペシャル描き下ろしではおぼっちゃまくんとよしりんの共演が見られてファンにはたまりません。



これまでのゴー宣の中からベスト30が収録されており、他にも対談やよしりん企画のスタッフ図鑑などたくさんの企画も収録されています。



現在でこそよしりんは「言論者」という一面がかなりフォーカスされていますが、この本では「ギャグ漫画家」としてのよしりんのセンスがかなり楽しめます。



この本を読んでみて、共感したら他のゴー宣を読んでみるというきっかけを与えてくれる本だと思います。



装丁もゴー宣シリーズの中では一番好きです。

よくぞここまでやって来たなあ…。 2007-05-03
この時点で、10年近く「漫画で」論争を繰り広げてきたのだけれど、よくここまで息が続くなと思った。

ほぼ再録みたいなモンで、見飽きるかも知れんが、特別漫画もあったりするんで、そこも買いだとは思います。

よしりんの言葉って 2006-09-18
よしりんの言葉って、自分を否定されかねないから、

自我が貧弱(=満たされてないんだろうな・・・)

な人にはきついんだろうね

それに、もの言いが男っぽいから、

女っぽい言葉『ばかり』聞いてる人には不快でしかないんだろう

ぬるま湯の甘ったるい言葉、きらきらキレイなだけの言葉

それは、母親というか「ママの言葉」



父の言葉がどの家庭でも弱くなってしまったので、

父の言葉に対して抵抗して乗り越えて、

それでも父の言葉は正しいことは頭では分かってるんだけど、

でも反抗してしまって、みたいな経験をできずにいたんだろうな



だからよしりんの言葉が、「人生初めて出会う父の言葉」なのかもね

「わかっているけど、自我を守るため反抗している」

ようにみえる人はきっと

そういう人たちなんだろう

一番やばかったのは 2006-09-07
本当に戦いの記録。
殺されかけたり、本を焼かれたりいろいろあったが、一番やばかったのは実は従軍慰安婦問題。
あれは小林よしのりじゃなきゃできないよ。
完全に悪人扱いされ、いいことは何一つない。
あの時何が彼を動かしたんだろう?

感慨深い 2006-09-07
巻頭のスペシャル描き下ろしでのおぼっちゃまくんの登場は、「おぼっちゃまくん」のアニメを見ていた世代としては感慨深い。
子供心に「このアニメ流して大丈夫なのか?」と思いながら見てたなあ。





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イギリスの金融・証券革命―ビッグ・バンの背景と影響 |W.A. トーマス

イギリスの金融・証券革命―ビッグ・バンの背景と影響
W.A. トーマス
東洋経済新報社 刊
発売日 1987-12





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“小林よしのり『台湾論』”を超えて―台湾への新しい視座

“小林よしのり『台湾論』”を超えて―台湾への新しい視座

作品社 刊
発売日 2001-04
オススメ度:★★




小林をダシに東アジアを語る 2006-03-21
 日本・中国・台湾等の研究者(私と同世代の院生も含む)の学際的ネットワーク(丸川哲史ら)とその賛同者(上杉聰・姜尚中等)が、小林よしのり『新ゴーマニズム宣言SPECIAL台湾論』(すみませんが、私はまだ読んでません…)を多角的に批判し乗り越えていくために、2001年に刊行した300頁弱の本。論者各自の意見は必ずしも一致してはいないが、重複する部分も多い。要は小林が台湾の一部大物「親日家」のセッティングしたコースを回り、彼らに政治的に利用され、彼ら一部の人間の「親日」発言を台湾人の総意と取り違えた(不都合な事実は無視ないし歪曲)上で、「台湾(本省人)=日本では失われた日本精神の残存=善玉」、「中国・韓国・外省人=反日=悪玉」という安易な二分法により、台湾をダシにして日本人としての誇りを再構築しようとした(植民地支配・アジア太平洋戦争の賛美へ)、ということである。その結果、彼は複雑な現実を過度に単純化した自分の物語のみを絶対視し、多くの事実を見落としている。例えば、「台湾独立論」は70年代までは省籍矛盾(外省人と本省人の対立)を軸としたものであったが、80年代以降は民主化・世代交代・国際的孤立等により、四大族群の融和を掲げた対中独立論(=台湾化)へと変化したが、彼は未だ古い独立論のままである。また、台湾には戦前の日本支配に批判的な人々(元「慰安婦」等)も当然多く、事実『台湾論』は台湾で多様な批判にさらされた。更に、戦後日本が台湾の外省人政権を支えていたことに彼はふれない、彼は植民地支配自体の歴史的変化を見ていない等々。他方で著者達は、単なる小林批判にとどまらず、従来の台湾軽視の是正など生産的な方向へ議論を進めようとしている。本書にはコンパクトで鋭い文章が多数掲載されており、論点も多岐にわたっている。日本の植民地支配や台湾について関心のある人にはお薦め。



小林を理解するには良いのでは。 2004-06-09
台湾論・小林氏両方を理解するには良い本だと思います。
彼への批判書というより、彼を理解しようとしようとしている人も読むべきものではと思いました。
台湾の現状、特に若い台湾人学者の文章は興味深いものです。
どこからでも読めるという利点もありますね。
東アジア全体を考えると言うこと、これも一つの視点だと思います。






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